TNFD 2025 ステータスレポートが発行されました !

TNFDは2023年のTNFD勧告発表から2年を記念して、2025年9月、TNFD2025ステータスレポートを発表しました。(2025年10月発行のニュースレターより)

参照: TNFD2025 Status Report September 2025  全24ページ

TNFD アダプターの組織数、600を超える

ステータスレポートによると、TNFDのアダプターとして登録した組織は、2025年7月時点で620組織、その運用資産総額は20兆米ドルに及ぶとのことです。筆者が調べたところ、最新の9月末時点ではアダプターとして登録された組織は680で、そのうち日本の組織数は201で、2位のイギリスの86と大きく差をつけて世界各国の中で1番の多さでした。

CDPのデータから見る、企業のTNFDの取り組み実態

ステータスレポートの中で、CDPのデータから企業の自然関連情報の開示情報の経年での傾向が分析されています。

当初、気候変動だけだったCDPのテーマの中にウォーターセキュリティーや森林が取り込まれ、2022年には生物多様性、そして、プラスチックとテーマが増えてきました。2022年より取り入れられた生物多様性のテーマに関して回答する企業が急増し、2024年には、2012年から取り入れられていたウォーターセキュリティーを回答する企業数を超える数となったのが特徴的です。

また、このステータスレポートには、CDPのメソドロジーで定義されたTNFDの開示要項のうち、少なくとも1つでも公表している企業の数の国別の割合が公表されています。

日本は12%でアメリカに次いで2位ですが、必ずしも開示の取り組みがTNFDのアダプターの国別比率とは一致しないこと、または、現在の開示が必ずしもTNFDの要項と合致していない可能性も読み取れます。

ステータスレポートの読み方の注意点

ステータスレポートでは、様々な切り口で企業の取り組みを表したデータが掲載されていますが、TNFDが独自でアンケート調査を行った母数が100程度のデータ、ブルームバーグから提供された膨大な企業数の母数が膨大なものなど、それぞれのページで母数の取り方が違うため、データの読み方には特に注意が必要です。

TNFD 2025 ステータスレポートからわかること

読み解きにくさはありますが、全体として、自然関連の開示が増えたといっても、それがTNFDに沿っているものとは限らないこと、ガバナンスなどTCFDとの統合的な開示が進んでいる項目はあるが、全体的には統合は進んでいないこと、全ての要項を満たして開示している企業はまだ少ないことなど、が読み取れます。また、TCFDの時と同様、シナリオ分析の公開が遅れている点も指摘されています。

TCFDが行ったアンケートの範囲内の、少ない母数内ではありますが、金融機関を除く企業の中のTCFDの担当人員数の調査結果があり、フルタイム従業員換算、1~2人が43%で、最大を占めていたことなどが掲載されています。このように、これから自社でどのように展開していこうか悩まれている企業にも参考になるような細部に渡る指標も示されています。

TNFDのアダプターが増え続けている日本の企業のあいだでは、これからTNFD要項の公開が増えていくかと思われますが、どの媒体にどのように公開していくか、どの要項から開示を進めようか、迷われている企業には、世界の動向がわかり、参考になる資料かと思われます。

TNFDのアダプターでなくとも......

また、TNFDのアダプターにならなくとも、自社の水や廃棄物、生物多様性などの方針立案や施策の実践を、CDPを通してTNFDのフレームワークを利用している企業にとっても、CDPの質問書だけに頼らず、TNFDの要項そのものに立ち返り、開示内容を、よりTNFDに沿ったものにする必要性を示唆するレポートとなっており、その点でも参考になるかと思われるので、ご一読をお勧めいたします。