Scope 3 の定義
スコープ(Scope=範囲)1、スコープ2,スコープ3とは、国際的な算定報告基準、「GHGプロトロル事業者排出量算定報告基準」(以下GHGプロトコルと表記)で定義されたもので、CDPやSBTiまたはその他の企業の環境データを求める国際的なイニシアチブでも共通で使われている概念です。

出典:サプライチェーン排出量全般 | グリーン・バリューチェーンプラットフォーム | 環境省 (env.go.jp)
GHGプロトコルではスコープ3を以下のように定義しています。
以下引用----
スコープ3:その他の温室効果ガスの間接排出
スコープ3は、その他のあらゆる間接排出を扱うための任意の報告カテゴリーである。スコープ3の排出は、事業者活動の結果として生じるが、その事業者が所有や管理をしていない排出源から発生する。スコープ3に該当する活動として、例えば購入原材料の抽出や生産、購入燃料の輸送、及び販売した製品やサービスの使用などがある
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出典:GHGプロトコル 事業者排出量算定基準 改訂版 日本語訳
参考:環境省 経済産業省 「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン ver.2.6」 2024年3月改訂
また、GHGプロトコルではスコープ3を以下のように15のカテゴリーに分けています。1~8がバリューチェーンの自社から上流に該当するもので、9~15が下流に該当します。

引用:環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム>Scope3排出量とは
上記のようにスコープ3にはたくさんのカテゴリーがあります。企業の業種によっては算出しなればいけないカテゴリーもありますが、GHGプロトコルの基準ではスコープ3は任意の報告となっています。排出量の算出の目的と照らし合わせ、重要度の高いカテゴリーから、算出してみることをお勧めします。
事業の業種や形態によっては、該当しないカテゴリーもあります。また、事業の全ての活動や支出を上記カテゴリーに分類しなればならない、というものでもありません。
算定方法
それぞれの項目の活動から排出量を算出するための算出方法は、GHGプロトコルで示されています。どの項目にも共通するのは、活動量を費用や重量などに置き換え、それを活動によって予め決められている排出原単位を乗じて算出する、という考え方です。
各カテゴリー排出量(tCO2)=活動量(金額、重量など)×排出原単位(tCO2e/金額など)
排出原単位データベースは環境省が発行しています。毎年更新されます。
排出原単位データベース | グリーン・バリューチェーンプラットフォーム | 環境省 (env.go.jp)
たとえば、製造業の企業がカテゴリー1の「購入した製品・サービス」のうちの購入した部品の排出量を算定しようとする時、その部品の購入価格または重量のどちらのデータで算定するか、選ぶことができます。そのデータによって、排出原単位が違います。
カテゴリー6の「出張」の場合、交通手段を詳しく仕分け、その燃料別に算定する燃料費ベース手法、距離と交通手段で求める距離ベース手法、金額で求める消費ベース手法があり、それぞれ使う排出原単位が違いますし、精度も異なります。
このようにスコープ3は一次データの選び方がカテゴリーごとに異なっていて、算出の目的やその考え方が大事になってきます。
以下、スコープ3の算定の際に参考となる資料を挙げます。
参考:環境省 経済産業省 「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン ver.2.6」 2024年3月改訂
環境省;GHGプロトコル発行「Scope3基準(日本語訳)」
Scope3_Guideline.pdf (env.go.jp)
環境省:GHGプロトコル発行「Scope3算定技術ガイダンス」
(J)-calculation_guidance.pdf (env.go.jp)
CDPの「サプライチェーンプログラム」
CDPは、特定のプライム上場企業に対してTier 1(一次サプライヤー)のデータの回収を促す「サプライチェーンプログラム」という取り組みを行っています。「サプライチェーンプログラム」に参加する企業は、Tier 1の各企業に対して、自社に供給している部品などに関わるCO2排出量の提出を、CDPを通して求めます。Tier 1企業はその上位企業への納品分の排出量を按分してCDPに提出します。そのデータが、上位企業のスコープ3のカテゴリー1のデータに集積される、というプログラムです。
このようにデータを金額や重量ベースではなく、より精度の高いデータを求める取り組みが進んでいます。CDPはTier-1やTier-2に対するエンゲージメント、協働プロジェクトの有無も指標としていて、大企業にはCO2排出量把握や削減の取り組みを取引先に広げていくことが期待されています。
