SBTとは

SBTとはScience Based Targets の略で、単に訳すと「科学的根拠に基づいた目標」のことです。どんな指標に対しての目標でも科学的根拠に基づいていれば、それはScience Based Targetsと言えるのですが、今日、脱炭素や環境の文脈でよく使われるSBTは「パリ協定が求める水準と整合した、企業が設定する温室効果ガス(GHG)排出削減目標」のことです。

SBTを認定するSBTiとは

目標設定のための科学的根拠となる理論を示すなどして設定支援をし、企業が設定した目標がその根拠に適合しているか検証し、認定する機関がSBTi (Science Based Targets initiative)です。2015年にCDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所) 、WWF (World Wildlife Fund)によって設立されました。

SBTiの目標認定基準とは 

設立以来、何度か基準が更新されています。2024年8月現在、短期目標と長期目標があり、短期目標は「目標年を基準年から5~10年を目標年とし、スコープ1とスコープ2を『世界の気温上昇を産業革命前と比べて1.5℃以内に抑える削減目標』、スコープ3では『2℃を十分に下回るように抑える目標』」としています。

スコープ1とは「事業者自らによるGHGの直接排出」、スコープ2とは「他社から供給され電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出」、スコープ3とは「Scope1、Scope2以外の事業者の活動に関連する間接排出」のことです。

また長期目標として、「ネットゼロ目標」の基準が設定されています。「1.5℃水準の短期目標設定をした上で、2050年までに総排出量の90%を削減し、10%分は中和(neutralization)によってゼロにする」というものです。

企業はSBTiの目標検証サービスを受けるにあたって、短期目標を設定するのか、短期と長期目標の両方の設定をするのかを選択できます。短期目標の認定を受けた後に、長期のみの目標を設定することもできます。

参考;SBTiのウェブサイト

Ambitious corporate climate action - Science Based Targets

SBT認定のメリット

 企業がSBTを持つことのメリットは、投資家や消費者、取引先などに直接アピールできることの他に、社内での排出量削減の意識向上にも役立ちます。また、CDPの質問書に回答をしている企業ならばCDPの点数を高めることができ、CDPの評価を上げることでESG投資の呼び込みにも役立ちます。

SBT取得までの手順 (大企業向け)

1. 企業の代表者がSBTiに対してコミットメントレターを提出することによって、SBTを取得する意志があることを宣言します。宣言した企業はSBTiのウェブサイトの公開リストに掲載されます。

2. 宣言後、その企業が属しているセクターのガイダンスに沿って、企業は目標設定をします。企業は宣言から2年を過ぎても目標の提出、または目標が認定されなかった場合は、宣言は取り下げられ、公開リストからも企業名は取り下げられます。

3. 目標が設定出来たら、企業はその目標が、SBTiが提供する科学的根拠に整合しているかどうかの検証を受けるため、SBTiに目標提出フォームを使って提出します。提出フォームには目標設定に使用した方法論などの詳細な情報も記入します。目標を提出した時点で、企業は検証サービスの費用を支払うことになります。

4. SBTiは目標と目標フォーマットに記載された情報を確認し、整合していない場合は、理由を明記した上で企業に目標を戻します。その場合、企業は規定の日数内にSBTiとやり取りをして、問題点を修正し、整合した目標を再提出します。1回の再提出分の検証費用は、目標提出時に支払った費用でカバーされます。

5. 目標が認定されると、SBTiのウェブサイトの公開リストに目標の詳細と共に掲載されます。また企業も自社のウェブサイトなどで認定された目標を公表しなければいけません。

6. 企業は認定後毎年自社のウェブサイト等で、目標に対する進捗状況を公開することが義務付けられています。

2024年8月現在、取得費用は以下の通りです。(2025年1月よりさらに価格が上がることが告知されています。)

短期目標の提出 $11,000 USD

ネットゼロ目標の提出 $11,000 USD

短期目標の提出+ネットゼロ目標の提出パッケージ $16,750 USD

参考:SBTi  Set a Target

How to set a science-based target - a step by step guide - Science Based Targets

参考:SBTi SERVICES  (最新の費用及び、2025年からの新価格についての情報)

Target Validation Service Offerings 2024 - June 2024 (sciencebasedtargets.org)

中小企業向けのSBT

SBTiはサプライチェーン全体での排出量削減を実現するため、中小企業向け(SMEs)の基準を設け、SBT認定を受け易くする対応をしています。日本でもプライム上場企業でSBT取得が進む中、中小企業もSBTを取得することは取引先選定においても優位になることでしょう。

最新の中小企業向けSBTの基準(定義)

定義は頻繁に改訂されるのでご留意ください。2024年6月現在、中小企業SMEの定義は以下の通りです。

中小企業とみなされるには、以下のすべてに該当すること:​

スコープ1およびロケーションベースのスコープ2の排出量が10,000tCO2e未満であること​

金融機関(FI)セクターまたは石油・ガス(O&G)セクターに分類されないこと

親会社の子会社で、その親会社の事業が標準的な検証ルートに該当しないこと​

さらに、以下のうち3つ以上に該当すること:​

従業員数が250人未満であること* ​

売上高が5千万ユーロ未満であること* 1ユーロ160円換算で    80億円未満 ​

総資産が2千500万ユーロ未満であること*    1ユーロ160円換算で 40億円未満​

森林・土地・農業(FLAG)セクターに属していないこと​

*欧州連合(EU)のCSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive)の中小企業基準に沿っています。​

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料金体制

新規の短期目標の設定 もしくは直近の短期目標の変更  $1,250 USD 

新規のネットゼロ目標の設定 $1,250 USD

短期目標とネットゼロ目標の設定 $2,500 USD

 

参考:中小企業向けのFAQ資料 Version 5.3  2024年6月発行

SME FAQs (sciencebasedtargets.org)

 

中小企業向けSBT取得の手順

詳細はこちらのブログページをご覧ください。