どのような手順で、脱炭素経営に踏み出せばよいのでしょう。エコベネでは、どうしてカーボンニュートラルが必要なのか、政策にどのように関わっているのか、ということを知った上で、まずはCO2排出量を算定し、課題を探し、目標を決めてみることをお勧めします。

環境省から「中小規模事業者向けの脱炭素経営導入ハンドブック」が発行されています。その中では、目標設定の手順は「①知る」、「②測る」、「③減らす」と示されています。

出典;環境省 中小規模事業者向けの脱炭素導入ハンドブックVer.1.0 P.4

①  知る

何のために削減をするのか、目的を明確にするためにカーボンニュートラルについて知り、自社の業界に何が求められているのか、GX基本方針などの政策なども含めて、情報を集めてみましょう。そして何のために削減目標を立てるのか明確にしましょう。

②  測る

目標を数値で具体的に立てるために、自社のバウンダリー(建屋や設備の範囲や、使用している車など)を決めましょう。バウンダリー内の直近の1年のデータを集めてみましょう。月ごと、建屋ごと、エネルギーの種類別にも内訳ができるようにデータ入力を工夫してみると、何月にどこでどんなエネルギーを使っているか、よくわかります。

また、今後、中小企業もSBTi取得や、金融機関からのサステナビリティ・リンク・ローンの借り入れ、または補助金などの取得のために国際的な算定基準の「GHGプロトロル」にそったScope1やScope2の算定が必要になってくると思われます。さらにその先にはScope3の算定も必要になる時がやってくる可能性もあります。

エコベネでは、算定を初めて考える企業には最初から「GHGプロトコル」に準拠してScope1とScope2の算定を目指すことをお勧めします。特に算定の目的と事業の範囲をどこまでとするか、という考え方を持った上でデータの収集を始めれば、後の状況の変化にも迅速に対応ができ、手間の削減にもつながります。

算定の考え方の予備知識として、環境省が発行しているパンフレット「サプライチェーン排出量算定の考え方」のScope1とScope2に関わるところだけでも、ご一読をお勧めます。何のための算定かという目的の明確化や事業の範囲の設定の理解に役立つことか思います。

参考:環境省 サプライチェーン排出量算定の考え方 supplychain201711_all.pdf (env.go.jp)

出典;環境省 中小規模事業者向けの脱炭素導入ハンドブックVer.1.0 P.7

③  減らす   目標をたてる

算定された結果をもとに月などの時系列や、建屋や設備などの場所別などで比較して、削減対策とその実施計画を立ててみましょう。そして、設備やエネルギーの使用が適正か確認しましょう。省エネ設備などで削減対策ができるかもしれません。

ハンドブックの中では、「こまめに電気を消す」、「照明をLEDに変える」などが初期の対策に挙げられています。

その上で定量的な目標をたててみましょう。最終ゴールは2050年のカーボンニュートラルとし、中期目標、年度目標をたててみましょう。その時に、どの年を基準にするのか、決めましょう。政府のカーボンニュートラルの基準年となっているのは2013年です。また、SBTiの中小企業版の基準年はもっと最近の2018年から2021年の中から選択するようになっています。あまり省エネ設備等がなかった昔の年を基準にして、削減量を大きく見せることがないよう、最近の年を基準年にした方が評価されます。

出典;環境省 中小規模事業者向けの脱炭素導入ハンドブックVer.1.0 P.10

そして、定期的に(通常は年度)排出量を算出し、対策の効果の検証し、対策とその実施計画の見直しをすることをガイドブックではすすめています。

環境省からは、これらの3ステップで脱炭素経営を導入している事例集も発行されています。

参考:中小規模事業者向けの脱炭素経営導入 PowerPoint プレゼンテーション (env.go.jp)

エコベネとしては、ステップ4として、算定ができたら、ウェブサイトなどで目的に合わせた形で公表することをお勧めします。自社の取り組みのアピールになります。

また、ステップ1を始める前に、何のために脱炭素経営に取り組むのか、自社がどのようなリスクに晒されているのか、脱炭素経営を推し進めていくことで得られる便益にはどのようなものがあるか、経営層の誰が責任をもって推進していくのかなどを明確にしておくと、その後のプロセスや成果に差がつくと考えています。