「脱炭素アドバイザー」とは?

すでに脱炭素経営へ舵を切り、カーボンニュートラルを目指している企業も、これからの企業も、それに関与する実務者は脱炭素経営やカーボンニュートラルに対して、どれほどの知識を持っているのでしょうか?

脱炭素、カーボンニュートラルは日本だけでなく世界の取り組みです。海外拠点を持つ企業でなくとも、世界の情勢が日本にどのように影響しているのか、日本の国内の方針や政策、地域の政策がどのように決まって、それが業界、または自社にどのように影響しているのか、また、GHG排出量削減のためにどのような技術があり、どのように進化しているのか、実際の排出量の計算はどのようにするのか、このような基礎知識を網羅するだけでも大変です。しかし、しっかり理解できたら、日々、更新される情報への理解も深まり、業務の質も向上するのではないでしょうか?

広大な範囲に及ぶ基礎知識を系統立てて、正しく理解しながらインプットするのはなかなか難しいことですが、それらの知識の構築を助けてくれるのが「脱炭素アドバイザー」の資格の取得です。

環境省認定制度「脱炭素アドバイザー」

環境省の「脱炭素アドバイザー資格の認定制度」のWebページには、脱炭素アドバイザー資格の認定制度とは「脱炭素に関わる民間資格について、『脱炭素アドバイザー資格制度認定ガイドライン』に基づいて、認定する制度です。日本全体の脱炭素化推進に向けて、適切な知識を備えた人材が企業内外で『脱炭素アドバイザー』として機能を発揮するために設立されました」と紹介されています。

環境省が定めるガイドラインに沿って複数の民間業者がそれぞれに資格試験を策定し、環境省から認定を受けます。その認定された試験の合格者が、環境省認定制度「脱炭素アドバイザー」となります。環境省認定とされていますが、国家資格ではなく、資格取得後に独占的に特定の業務ができるようになる資格でもありません。

参照: 脱炭素アドバイザー資格の認定制度|環境省

3つのレベル

「脱炭素アドバイザー」には3つのレベルがあり、環境省は下記のように定義しています。

2023年に「ベーシック」の資格認定試験が始まり、2024年に「アドバンスト」の資格認定試験が始まりました。現時点では(2025年11月)、「シニア」の資格認定試験は行われていません。

参照: 脱炭素アドバイザー資格の認定制度|環境省

そして「ベーシック」、「アドバンスト」の各レベルに対して、それぞれの資格があります。

現在、「ベーシック」と認定されている資格/検定試験は下記の6種類です。

そして「アドバンスト」と認定されている資格/検定試験は下記の6種類です。

参照: 脱炭素アドバイザー資格の認定制度|環境省

「ベーシック」、「アドバンスト」共に「脱炭素アドバイザー資格制度認定ガイドライン」によって、網羅すべき内容が決められているとはいえ、事業者によって、たとえば、日本カーボンニュートラル協会は主に中小企業、炭素会計アドバイザー協会は排出量計算など、重きを置いている内容に特徴があります。

また、受験資格、受験に必要な講義の受講料、受験料、受験方法が事業者によって大きく異なることにも留意したいところです。

実際に受験してみました!

実際に筆者も、スキルアップNext社の「GX検定アドバンスト」を受けてみました。スキルアップNext社は、「アドバンスト」の資格を以下のような方に薦めています。

  • GX推進・サステナビリティ部門の担当者

  • 自部門の排出量算定を実施し、サステナビリティ部門との連携が必要な各事業部の担当者

  • 企業の脱炭素経営を支援する専門知識を備えた金融機関の営業担当者

  • 投資家向けに情報を開示するIR部門の担当者

  • 脱炭素化のアドバイスや実践支援を行う自治体職員・商工会議所の経営指導員

  • 取引先に対してGX関連のサービス・商品を提案する営業担当者

    参照: GX検定 アドバンスト | スキルアップGreen

2024年の受験時には、環境省に認定されたアドバンスト・レベルの資格試験はひとつもなく、2024年内には、この「GX検定アドバンスト」が環境省から認定を受ける予定ということだったので、まずは受けてみようと認定前に受験し、合格しました。その後、「GX検定アドバンスト」が実際に環境省から「脱炭素アドバイザーアドバンスト」の適格資格だと認定されてから、無料で再試験の機会が与えられ、再試験に合格し、「脱炭素アドバイザーアドバンスト」と名乗ることができました。現在は1回の合格で資格を取得できます。

「GX検定アドバンスト」の受験資格は、同社が発行している7時間の動画講義と3時間分の演習問題を受講することのみとなっていて、ベーシックの資格は要件となっていないもののベーシック相当の知識は前提となっています。試験問題集はないので、試験形式に慣れる模擬試験的な学習はできません。

前述の通り、この資格を取得したからといって、法的にできることが増えるわけではありません。しかし、自己の知識体系を再整理する極めて有意義な機会となりました。いったん、整理できたことで、その後に得られる情報の理解度が大幅に向上したことを強く実感しております。

どの事業者の検定試験でも、また、どのレベルでも、これから実務に就くために知識を必要とされている方だけでなく、既に脱炭素経営やカーボンニュートラルの実務を担当されている方にも、ご自身の既存の知識を整理し、磨くために受験をお勧めしたいと思います。

そして、この分野を取り巻く状況は、日々激しく変化することが大きな特徴です。合格後も日常的な知識のアップデートは不可欠です。現在のところ、環境省からの要件には期限の設定や更新の義務付けはありませんが、この資格認定制度が定着し活用されていけば、将来、資格の期限の設定もあり得るのではないか、と思います。